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代償債務不履行の際の相続税

今回は相続のお話です。
相続は基本的に被相続人の遺言があればそれに従ってなされますが、
遺言がなければ民法が「この分け方がベスト!」と
定めた方法で相続財産を分けることにするか、
もしくは相続人全員の話し合いで
財産をどのように分けるかを決めることもできます。
この、話し合いで決めることを遺産分割協議といいます。
(ちなみに、遺言があっても相続人全員が希望すれば遺産分割協議による相続も可能です)

例えば、相続人が兄と弟の二人いるとします。
被相続人の遺言はありませんでした。
しかし、相続できる財産は、実質居住用の家と土地だけしかない、というケース。
共有名義だと後々面倒になりかねないという意見もあり、
遺産分割協議で、兄がその家をもらうことにしました。
その不動産には10,000万円の価値があり、
今後、兄がお墓や仏壇を守っていくからということで
その部分を差し引いて、4,000万円を現金で弟に支払うことにしました。
つまり、兄は弟に対する債務を負うことになるんですね。
これを代償債務といいます。
兄弟はこのやり方に合意して、相続税の申告を行うことにしました。



まあでも、お互い身内ということもあり、
兄がこの4,000万円をちゃんと支払ってくれない、
というケースもやっぱりあるんですよね。

そうなったら弟は怒ります。
「遺産分割協議なんて無効だ!
相続税の申告だってやり直すぞ!
だって実際に何も相続してないんだから」
ということになります。

遺産分割協議は一旦終わると、基本的には
債務不履行での取り消しというのはされないんですが、
相続人全員、この例だと兄弟双方が合意すれば
協議での取り決めを解除すること自体は可能です。

しかし、これが相続税の申告の更正となると、少し話が違ってきます。

相続税法上では、
「法定相続分に従い課税価格が計算された場合に」、
その後の遺産分割で当初計算されていた課税価格が異なることとなり、
当初申告の課税価格及び相続税額が課題となったときに
更正の請求ができるとされています。
(法定相続分というのは、法律の定めた割合で遺産を分割するやり方のことです)

今回の例では、法定相続分ではなく遺産分割協議での
決定に従って課税価格を計算しているので、
更正の請求はできないということになります。
相続税については、
たとえ何もその時点で相続していなくても、
またその遺産分割協議が解除されていたとしても、
当初の申告通りに納付しなければならないということに
なってしまうんですね。恐ろしい。

こういう事態を避けるためにも、
代償債務という形で遺産分割を行う場合は
債務を負う人がちゃんと履行できる能力を
持っているかどうかも踏まえておかないとダメですね。

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