給与該当性の判断
誰かにお金を支払おうとするとき、
給与としてではなく外注として支払おうとする会社は多いです。
なぜなら、給与を避けた方が、消費税の仕入税額控除が増える上に
源泉徴収が不要になる場合もあり、更に社会保険の会社負担もなくなるため
いいことずくめなんです。
ただし、誰かに対して支払われたお金が給与として扱われるかそうでないかは、
単にどのように契約が交わされているかによって判断されるものだと考えられがちですが、
近年、税務調査が入った際には契約の内容以外の現実に即した要素も踏まえて
給与と見なされてしまうケースが結構あります。
平成25年10月23日、東京高裁は
塾や家庭教師の講師に支払うお金を外注としていた企業に対し、
これが給与にあたると判断しました。
企業側からすれば、源泉徴収は行わなければならないし、
消費税の仕入税額控除も減って納付する税金が増えてしまいます。
また、出勤時間の多寡によっては社会保険の加入義務も生じますので、
企業側には会社負担分の追加負担が、講師側には本人負担分の負担が
発生してしまいます。
まさに踏んだり蹴ったりですね。。。
給与と判断するかどうかのポイントとしては、
1)労務の提供への対価であるかどうか?
2)独立的に業務を行っているか?
3)企業の監督下に置かれているか?
4)企業から空間的・時間的な拘束を受けているか?
などがあります。
今回の件で考えると・・・
1)講師が企業のために行った労務への対価と言えます。
2)企業から講師へ業務に必要なものを提供していること、
また内容の優劣に関係なく業務を行う時間に応じてお金が
支払われていることから、非独立的であると言えます。
3)企業によって講師に研修などが行われていることや
業務遂行状況の報告を義務付けていることから、
講師は企業の監督下に置かれていると考えられます。
4)講師は企業を通して顧客となった相手の指示に従い
決められた時間・場所で業務を行っていることから、
空間的・時間的な拘束を受けていると言えます。
こう見るとなるほど、という感じですね。
外注契約を結ぶ際には、本当にその業務内容で外注と言えるのかどうか、
よく考えた方がよさそうです。
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