社長宅の賃貸2

社長宅が持家だろうが賃貸だろうが、
会社に貸してしまっても
(少なくとも税務上は)問題ないというのが
前回の話でした。
今回は、では賃貸するときの賃料は
どうやって設定するべきか、という話です。

一般的に、法人税上は「時価」による
取引が求められます。
よって、賃料についても、すごい高額や
すごい低額に設定している場合、
「そんな金額おかしいよね」と突っ込まれ
時価による取引があったものと
みなされてしまうのです。

例えば、時価が10万円/月のところ
100万円/月で社長から借りている場合、
会社として賃料100万円を支払っていても
「賃料は10万円ですね」とされて、
残りの90万円の支払は別の支出である、と
認定されてしまうのです。
社長宅を賃貸している場合であれば、
この90万円は社長への給料とみなされる
ことになると思います。そして、
「この給料から源泉徴収してませんね」
といわれ、源泉徴収漏れということで
追徴課税されることになります。

また、社長の所得税もこの90万を含め
再計算されることになりますので、
所得税の追徴も発生すると思われます。

一方で、時価が10万円/月のところ
無償で社長から借りている場合、
会社としては賃料を支払っていませんが
「賃料は10万円ですね」とされて
賃料(経費)が認定されます。
その一方で、本当は払うべきお金を
払わずに済んでいるわけですから、
「つまり10万円返してもらったんですね」
ということで、10万円の受贈益(収益)が
認定されます。
10万円の経費と収益とが認識され、
結果としてチャラになりますので、
この場合は追徴といったことにはなりません。

社長の所得税については、
「賃料は10万円ですね」とされて、
その受取賃料を所得税に含めて再計算・・・
これは、しなくて問題ありません。
法人税の場合、このように
実際はもらっていなくても
本来受け取るべきというお金があれば
それを含めて税金計算をしますが、
所得税にはそのような規定がありませんので
再計算をする必要が無いのです。

ただし、1円でも賃料をもらっている場合、
社長の所得税において
「雑所得」もしくは「不動産所得」として
申告する義務がある可能性がありますので
この点は注意が必要です。

ということで、結論としては、
「賃料が低い場合は問題なし」
「賃料が高い場合は追徴課税のリスクあり」
ということになります。
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