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役員か従業員か

6月には多くの3月決算の会社の株主総会が開催されます。
株主総会では取締役の選任を行いますので、
株主総会の招集通知を見ながら
「おお、この人が取締役になるのか!」とか
「あれ?監査役の○○さんってあの○○さん!?」とか
上場企業各社の役員人事から垣間見える
人間関係や組織の力学や場の空気やそういったダイナミズムを感じ
ちょっとドキドキしてしまうのが毎年の恒例になっています。

というわけで今回は役員の話なのですが、
まず役員ってなんでしょうか。
場面ごとに定義が異なるのですが、前提となる会社法の定義では
役員とは、「取締役」と「監査役」の総称だと思ってください。
つまり、取締役も役員なら、監査役も役員だということです。
多くの会社では監査役を設置していませんので、
役員といえば取締役、みたいなイメージで良いかと思います。

たまに「執行役員」なる肩書を目にすることがありますが、
これは(基本的には)会社法上の役員ではありません。
会社法上はただの従業員です。


さて、そんな役員ですが、実際問題、
役員になるのが得か従業員のままでいるのが得かでいうと、
少なくとも税金やその周辺分野では、
会社にとっても本人にとっても明らかに従業員の方が得です。

従業員の方が得な理由は次の3つです。
1.従業員は雇用保険に加入できる(役員は条件が必要)。
2.従業員は毎月の給料の額を変動させることができる。
3.役員へのボーナスは税務上の損金にならない。
4.役員は残業手当なんてつかない。
5.従業員は雇用関係の助成金の対象になる(役員は対象外)。

まず、従業員は雇用保険に加入できます。
役員でも加入できるのですが、色々と条件がややこしく、
(従業員兼務役員の認定を受けることができれば加入できます)
何も考えずに雇用保険に加入できる従業員の方が
何かと便利だと思います。

次に、従業員の給料を変更しても特に何の問題もありませんが
役員の給料を変更すると税務上デメリットが生じることがあります。
決算から3か月以内の変更なら問題ないのですが、それ以外に
「毎月30万円だったけど、今月から毎月50万円にしよう!」
と急に給料を変更した場合、突然増えた月当たり20万円部分は
税務上の損金になりません。
その分、税金が余計にかかってきます。

また、役員に対して支給するボーナスも損金になりません。
損金にならないため、役員に対してボーナスを支給する会社は
だんだん少なくなってきているように思います。

さらに、役員には残業手当もつきません。
役員の仕事は時間と成果とが比例しないからです。
成果をだすことが役員の仕事であって、そのために必要な時間が
少なくても多くてもそれは問題にはなりません。
そういう意味では、働いている時間が非常に短くても
成果を獲得できているのであればまったく問題ありません。

最後に、役員を採用するのは法的には「雇用」ではありません。
「委任」になります。そのため、役員を採用しても、
雇用ではない以上、雇用関係の助成金を受給することはできません。


というわけで、本人にしてみても役員になってしまうと
雇用保険はつかなくなる場合があるわ、ボーナスも残業も無いわ、
あまり良いことは無いように思います。
会社にしてみても賞与や残業代で利益を調整することができない上、
業績に応じた給料で報いるということもできなくなり、
非常に硬直的、やりづらくなってしまいます。
やっぱり、従業員の方が何かと便利だろうと思います。

大手の場合、役員になれば基本給が跳ね上がるでしょうし、
そういうところで役員へのあこがれというのがあるのかもしれません。
もしかしたら、名刺に「取締役」ってあるとカッコイイ!というのが
案外と本音なのかもしれませんね。

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